17555HITリクエスト from かなこ様
「んぁ・・・、あっ・・・ん・・・」
甘い吐息を漏らした私の口を、彼がふいに塞いだ。
「声を出さないで。・・・その方がずっと良くなるから」
「そ・・・んなの・・・無理・・・」
「大丈夫。・・・もっと気持ちよくなりたいでしょ?」
その言葉が背を撫でる。
「声の代わりに、身体が叫べばいい」
ぞくりとするような痺れが伝わり、私は口を噤んでしまった。
(なぜ、彼の言いなりになってしまうのだろう)
『枯木宿』
『キミの身体は全身が愉しめる』
その言葉通り、いつも彼は、私の身体に隈なく舌を這わせる。今も、脚の指を口に含み、歯や舌で撫で回わしている。こんなところが、感じてしまうのかと思うほど、私の身体は絶え間なく震え続ける。その気持ちよさに、思わず彼の顔を蹴り上げてしまうのではないかという不安も、彼には予測の範囲のようで、しっかりと私の両脚首を掴んでいた。
「綺麗な、脚だね」
彼は私の片脚を持ち上げ、自分の肩に載せる。脚の裏をゆっくりと舌が滑り、踝をなぞるように舐め、そこから緩やかに円を描きつつ、腿の付け根の部分まで上がってくると、焦らすようにまた膝の方へと内腿を滑り降りていく。細い指も同じように脚を繰り返し滑っていた。
(・・・んんっ・・・)
声が出せない分、下の口からは、恥ずかしいほどの蜜が漏れ、それを隠す為に腿を閉じようとしても、片方の脚は彼の肩の上。仕方なくもう片方の脚の膝を立てて、内側に倒す。けれど、すぐに彼は手を添えて、もっと大きく開いてみせる。
(・・・恥ずかしい・・・)
顕になったソコに、彼が指を伸ばし、漏れた蜜をすくう。下腹と腿が震え、私は声を漏らさないよう指を噛んだ。
「声を出さなくなったら、急にココがおしゃべりになったね」
からかうように彼は言って、2本の指でヒダを押し広げた。
(・・・んん・・・)
「ほら・・、まただ。・・ね、キス、してもいい?」
私は首を振る。
「どうして?ホンモノは駄目でも、・・・ココは、俺でも、いいんでしょ?」
「・・・・・」
無駄な抵抗だと解っていても、私はもう一度膝を立て、そこを閉ざそうとした。
「焦らしてるの?欲しがっているよ、ココは。・・・俺の唇を」
(・・・そんなこと・・・わかっている・・・)
私の蜜壷は、ずっと彼の舌先の愛撫を待っている。待ち焦がれて、こんな風に濡れている。彼がどんな風にそこを愛するのか、何より身体が知っている。彼のキスがどれだけ丁寧で、そして・・・激しくて。私の思考力を奪い、眠った『オンナ』を呼び起こすのかを。それを連想させる、彼の言葉、声、その所作に、私のソコは、何度もキスをされているのと同じ感覚に犯されている。もうすぐ、彼の長い肉厚な舌がソコに触れ、その唇が紅く腫れた蕾を吸い、いつ終わるかもしれぬキスを続ける。・・・考えただけで、私は再び、指をきつく噛み締めなくてはならない。快楽の沼に脚をとられもがきながらも、本当はその深い底まで飲み込まれたいと願う、『オンナ』の私。
「ねぇ、聴こえてる?」
彼は、私の『願望』を巧みに責め続ける。
「返事・・・してよ?」
声を出すなと言った本人が、そんな意地悪なことを告げる。
「キスさせてくれないなら、・・・・このままだよ」
その一言に、膝に入れていた力が抜ける。
そこに添えられていた彼の手が、私の意志を汲み取るように、動く。
「やっと素直になったね」
彼は口元を緩めて、私の両腿の間に顔を埋めた。自然とその頭に片手が伸びる。
揺れる髪に指を絡ませ、押さえたいのか引き離したいのか、自分でもわからないまま。
(・・あ・・あっ・・)
呼応するように動く腰を、彼は幾度も捕まえて、わざと音を立てながら、滴る蜜をゆっくりと、まるで味わうように舌ですくい上げる。例え今、声が漏れてしまったとしても、彼は咎めはしない。ただ、満足気に、ますますその動きを激しくするだけだ。けれど、「もっと気持ちよくなる」、彼のその一言が、まるで呪縛のように、私にそうさせないでいる。唇に含んだ指には、くっきりと歯型が残り、血すら滲んでいるかもしれない。僅かに漏れる、ため息に似た呼吸だけを許し、我慢を続けている。そうして、貪欲に快楽を求める私の姿を、彼は愉しんでいるのだろう。・・・深く、いやらしいキスを続けながら。
ふいに彼が、動きを止めた。
突然切れた快感の波を惜しむように、思わず彼を睨んでしまう。
「キミが、本当のキスをさせてくれないのは、俺が上手くないって思っている?」
(何を、言う?・・・こんな時に。そうじゃないって、知っているくせに)
私は戸惑うように眉を寄せる。彼が、何を言いたいのか、わからない。私が、私たちがキスをしないことなど、今更そんな解りきったこと、何故問う?
「見せてあげようか? 俺の、キス」
驚き、抵抗する間など無かった。彼は、私の両脚を持ち上げると自分の両肩に載せ、ソコが私にも見えるように、身体を起こした。
「やっ・・・ ・・・」
思わず顔を両手で覆う。
「駄目だよ、ちゃんと見て。ほら」
抗えない力に、両手は剥がされ、私のすぐ前に、茂みすら淫靡に光らせるほどの蜜に濡れたソコが、顕になっていた。彼は、内腿に手を添え、私の瞳を見つめながら、舌を這わせていく。そのねっとりとした動きに目を逸らし、そして、そこから生まれる熱い疼きに再び指を噛み、シーツを掴む。
(・・・もう、限界・・・)
行き場のない、快感の先。身体中を巡る痺れが、私の喉を突いてくる。声に出せないことが、こんなにも辛く、けれど、それが奇妙な感覚を与えているのも事実だ。彼の言葉ではないけれど、身体中が、声に出来ない声を、上げている。でも・・・もう。
「もう・・・いい?・・・」
涙声が口から漏れた。その響きに、彼は顔を上げると、身を起こし、耳元に口を寄せる。
「いいの?今、叫んでしまったら、気持ちよさは半減だよ?」
そんな風に言いながら、彼は滾ったものを、ヒダに沿ってあてがう。私が、それを欲しがることを承知しているように、目を細めて。そして、口元で力なく垂れている指を持ち上げた。
「・・・こんなになるまで、我慢、してたの?」
歯形を辿るように、彼の舌先が動く。
「仕方、ないね。じゃあ、どうすればいいか、わかっている、よね」
蜜を充分吸っている指で私の唇をなぞりながら、蜜で濡れたソコに、硬いモノを滑らせる。
その度、蜜壷が収縮するのが、はっきりとわかる。ソレを欲しがって、また、熱い蜜が零れる。
彼の望む、言葉。
それが、この苦しさと快感を解く鍵なんだと、充分に解っている。そうして、それを口にした瞬間、私はまた堕ちていき、この人の身体に溺れるのだ。・・・いつの間にか、自ら求め、そしてむさぼるように・・・
・・・
「・・・欲しい・・・」
言葉と同時に、彼が、入り込んできた。
「んあ・・・あ・・・ああぁ・・・」
塞き止められていた歓喜の声が、全身を突き抜ける快感とともに、響き渡る。この部屋を飛び立ち、葉の落ちた枯木の間を抜け、もしかしたら、あいつに、届いてしまうのではないかという不安がよぎりながらも。それでも、この人の背に腕を回し、しがみついて、身体を揺らす。
この声が、涸れ果てるまで・・・ ・・・
終
2007.11.25
es-pressivo/Riku
-Photo by tricot-
かなこ様に捧げます。
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